身体本来の働きや治癒力を活かし、基礎医学や自然法則などを元にした手技を施す医学をオステオパシーと言います。
日本においてはまだまだ認知度が低く、独自の医学として発展してきたことを日本の医療も含めて知れ渡っていません。
解剖学、組織学、生理学、神経学、血管学、病理学、発生学、など広範囲の医学知識に加え自然科学や物理学など自然法則と、創始者であるアンドリュー・テイラー・スティル医師や先人のオステオパシードクターが遺した哲学とともに発展してきた医学です。
ですからオステオパシーは、療法やテクニックとして扱うのではなく、西洋医学や東洋医学のように医学や哲学の体系の一つとしてあるものです。
世界に広がったオステオパシー
オステオパシーはアメリカをはじめ海外の多くの国で、正式な自然医学の地位を確立しています。
1874年にアンドリュー・テイラー・スティル(1828-1917 下写真) というアメリカ人医師が、長年の研究を経てオステオパシーを世に発表し提唱された医学と哲学です。
その当時の医学会は、オステオパシーを異端として強く非難しましたが、解剖学、生理学などの基礎医学に基づいた確固たる根拠に基づいた手技療法です。
現在アメリカでは、オステオパシーの医学的な根拠と健康への貢献度を認めておりドクター・オブ・オステオパシーと呼ばれる医師免許を有し正規の医師として全ての医療行為が行えます。それ以外の国では、ディプロマ・オブ・オステオパシー(Diploma of Osteopathy)の略で、主にオステオパシーカレッジが独自の資格や国家資格を設けています。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アメリカ合衆国の医学教育
アンドリュー・テイラー・スティル M.D. D.O. 1828-1917
当時の医学に疑問を抱きつつ、人体の持つ自然治癒力や自己調節機能、自然科学などに着目し長年に渡り研究を重ねご尽力されました。
中でも人体を構成する構造と、その働きには密接な関係がある事に気がつき、オステオパシーを考案し、たくさんの概念を世に残しました。
オステオパシーの基本的な概念として代表的な原則として
- 身体は一つの単位(ユニット)である。
- 人間の身体全体を一つのユニットと捉え、骨や筋肉、内臓、神経や血管など様々な器官が互いに繋がり合い協調して働いていると考えます。
身体は自己調節、自己治癒、健康維持能力を持っている。
身体には完璧な健全システムがあると思ってください。人間である以上、受胎してから様々な出来事(事故や怪我、手術、心理的な出来事、遺伝的な事、環境やストレス)によって、そのシステムの働き(治癒力)を弱らせてしまうブロックが生じます。
オステオパシーは人間の本来持っている自己調節する機能を取り戻すサポートをしていきます。
身体の構造と機能は相互に関与しあっている。
- これらの身体の機能や構造は単独で考えず、お互いに調和が取れる事が自己調節には必要だと考えられます。
- お互いの問題によって身体の機能が妨げられてしまった場合に、病気や障害、痛みなどが引き起こされると考えます。
合理的な治療は身体の調和、自己調節、および構造と機能の相互関係の基礎的原理に基づく。
身体―心―精神も含めた全体性のバランスが重要と考えます。合理的な治療はこれらの身体の調和や、自己調節、構造と機能の相互関係のもと成り立つという事です。
オステオパシーの特徴は、人間の身体全体をひとつの繋がったシステムとして捉えることです。
つまり身体の器官や組織などは、人間の生命を維持するために機能し、身体全体として調和を図りながら協調して働いていると考えています。
適応症の例
オステオパシーは全身を施術対象とします。
身体全体は一つのユニットとして機能し、その中で全ての要素は互いに関連しあって動いています。
筋骨格系、内臓系、血管やリンパ系、神経系、頭蓋など全身に対してアプローチが出来る技術があります。
患者さんの組織の弾力を尊重しながら比較的に柔らかい手技によって矯正やリリースをして、より状態がよい身体へと導いていきます。
多くの方は寝てしまう様な手技です。以下に国内・国外でオステオパシーの適応とされているものの一部を記載します。
ぜひ参考にしてください。
運動器 骨格 (筋や関節など)
外傷またはその後遺症、関節の疼痛、交通事故による後遺症、スポーツ障害など
慢性な痛みや疲労感、関節の強張りなど
神経系
手足のしびれや頭痛、歯の痛み、耳鳴り、不眠、不安症、めまい、更年期障害。
消化器系
便秘、下痢、胃腸のトラブルなど
呼吸器系
喘息、呼吸障害、
婦人科系
不妊症、産前産後のトラブル、生理痛、生理不順、PMSなど
小児科系
てんかん、小児ぜんそく、夜尿症、集中力低下、落ち着きなさ、耳鼻咽喉系のトラブル
その他
喘息やアトピー、その他アレルギー疾患、泌尿器系のトラブルなど
不安、パニック障害など
オステオパシーでそれぞれ快い変化が期待できる適応症は多岐にわたります。
是非ご相談ください。
ご注意
オステオパシーは、日本において残念ながらまだ医療と認められておりません。
そのため重篤な疾患をお持ちの方、または内科的な疾患や婦人科系の疾患または感染症などで検査や投薬が必要な場合は、必ず適切に医師の診察や検査をお受けください。
医師の診断のもと、オステオパシーを受けて頂く事、または当院に相談いただくことをお勧め致します。